今回は、「オーバーフェンス」について、作品情報や感想をご紹介します。
最近、Netflixで映画を鑑賞することが増えてきて、日々貪るように色々な作品を鑑賞するようになりました。
Netflixさん、そんな私の日々の行動から学習しているのでしょうね。
あれやこれやとオススメ作品をたくさん勧めてくれています。
そんなオススメ作品の1つとして、リストの先頭に登場したこと、そして過去に私が鑑賞したオダギリジョー作品の打率が良かったことが、今回オーバーフェンス観てみようかなと思ったきっかけです。
この作品に関しては、前情報を一切持っていなかったので、先入観ゼロの状態で観ることができました。
観る前は正直、「なんか地味そうだな」と思っていたところがありました。その印象は結局、観終わったあとも変わることはなかったのですが、観終えて感じることとしては、この映画の良さはその「地味さ」にこそあったと思っています。
なぜかっていうと、
人の日常の中に潜んでいる、なかなか気づくことが難しいテーマを表現するには、過剰な演出をすることよりもむしろ、引き算をして作品自体を地味な日常に近づけることが効果的なんだな、と実感したからです。
おとなしくて口数が少ない人がたまにポロッといいことを言う、それが妙に周りを引きつけたり印象に残ったりすることがありますが、あれと一緒だなあと感じました。
※この記事では、
- 前半は、まだ観ていない方向けに「ネタバレなし」で
- 後半は、すでに観ている方向けに「ネタバレあり」で
作品情報と感想を書いていきます。
すでに観ている方は、次のページ
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まだ観ていない方向け
作品情報
2016年9月17日公開。佐藤泰志の短編小説であり、「海炭市叙景」「そこのみにて光輝く」に続く、函館3部作の最終章という位置づけの作品。
監督:
山下敦弘
キャスト:
白岩義男 – オダギリジョー
田村聡 – 蒼井優
代島和之 – 松田翔太
森由人 – 満島真之介
原浩一郎 – 北村有起哉
島田晃 – 松澤匠
尾形洋子 – 優香
勝間田憲一 – 鈴木常吉
あらすじ
家族をかえりみなかった男・白岩は、妻に見限られ、東京から故郷の函館に戻りつつも実家には顔を出さず、職業訓練校に通いながら失業保険で暮らしていた。
訓練校とアパートの往復、2本の缶ビールとコンビニ弁当の惰性の日々。
なんの楽しみもなく、ただ働いて死ぬだけ、そう思っていた。
ある日、同じ職業訓練校に通う仲間の第島とキャバクラに連れて行かれ、
そこで鳥の動きを真似る風変わりな若いホステスと出会う―。
名前は聡(さとし)。
「名前で苦労したけど、親のこと悪く言わないで、頭悪いだけだから」
そんな風に話す、どこか危うさを持つ美しい聡に、白岩は急速に強く惹かれていくが…。
自由と苦悶のはざまでもがく女の一途な魂にふれることで、
男の鬱屈した心象は徐々に変化していくが、
それでもままならない時間を過ごすしかない一組の男女。
そして孤独と絶望しか知らなかった男たち。
美しく壊れかけた男と女がフェンスの先に見つけるものは―。
公式HPより引用
感想
日常の中にカメラが置かれたような作品
冒頭でも書いたように、いい意味で地味な作品なんです。
BGMを過剰に使って盛り上げることもせず、環境音がBGM代わり。
演者の演技もうまく肩の力が抜けていて、本当にその辺にいそうな人々に見えてくるようでした。
日常生活の中にポンと1つのカメラを置いて、なりゆきを記録をしたような印象さえ感じます。
だからこそ、描かれる登場人物の心の機微が埋もれることなく、見えやすくなっているのではないかなと。
松山ケンイチ、永作博美の出演する映画「人のセックスを笑うな」も同じような作風が感じられ好きだったのですが、今作にもそれは共通する部分があるように感じましたね。(あちらのほうがより日常を切り取っている感じが強いですが。)
登場人物の魅力
主演であるオダギリジョー、蒼井優の演技はやはり「上手い!」と思わされました。
気だるさのある役を演じさせたら、オダギリジョーはピカイチだと思うし、蒼井優も演技の振り幅が非常に広く、イカれたホステスから遊園地の地味なバイトまで、聡という一役のなかで見事に演じきっていたなと感じます。
個人的には、その脇を固める代島を演じる松田翔太や、勝間田さん役の鈴木常吉も、「あー、こんな人いるいる」と思わせるようなナチュラルな存在感があったことが印象深いです。
特に勝間田さんなんか、そのへんのおっちゃんが撮影現場に入ってきちゃったのか?というくらいナチュラルおじさんでした(笑)
こんな方におすすめ
私は、映画を観るという行為には、時間もそうですがそれなりに「体力」も使うと思っています。
観終わった感想として、このオーバーフェンスは、観るのに体力の消耗が少なかったなと感じますね。
そして後味スッキリ系でもあるので、構えないで気軽に楽しみたい方にはもってこいだと思います。
ただ、観ていて考えさせられる部分も多々あり、考察を楽しむこともできるので、ライトに観たい人からじっくり考察好きな人まで、意外と万人受けする作品なのではないかと思います。
ここまでが、ネタバレなしでお伝えできる感想です。
次のページでは、ネタバレを含む感想をお伝えします。
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