映画『レオン』を観た感想/マチルダが抱えるあの植物は?【ネタバレなし&ネタバレあり】

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感想

見た目が子供なマチルダと、中身が子供なレオンの対称性

さきほど書いたように、マチルダは見た目は子供ですが、ときどき大人びた言動をします。
例えば、レオンに対して「レオン、あなたに恋してるみたい。」と伝えるシーンがあります。
「恋をしている」ではなく、「恋をしているみたい」と客観的に自分の感情を捉えているんです。
まだ12歳であるにも関わらず、これ以外にも大人びた言動がちらほらと見えます。
一方のレオンは、暗殺以外ともなると、まるで子供です。
コミュニケーションがとても苦手だったり、有名なTVスターも知らないくらい世間の常識を知らなかったりします。
体だけ大きくなった、それこそ12歳の少年みたいです。(いや、もっと下にさえ見える…。)
もしかしたらこの、精神的に幼い部分に、マチルダは溺愛していた弟を重ねて、レオンに好意を持ったのかもしれません。
そんな大人びたマチルダと、体だけ大人で中身は少年、いや幼年のレオンというデコボココンビだったからこそ、最初から最後まで2人の関係性に惹きつけられたんじゃないかな、と思います。
これが普通に精神的に成熟した大人の殺し屋と、年相応の言動しかしない12歳の少女というコンビだったら、ただ大人が子供を守るという関係性にしかならないですもんね。

自分ではなく、マチルダのために戦うレオン

19歳でイタリアからアメリカに渡り、レオンは殺し屋として孤独な人生を歩んできました。
暗殺を行うのは、お金のためであり、自分が生きるための手段でしかなかったのです。
しかし、マチルダに出会ったことで、レオンに初めて守らなくてはいけないものができました。
マチルダに、暗殺の術を教え、雇い主であるトニーにも、「自分が死んだら金はマチルダに渡してくれ」と遺言を託し、最後のスタンの奇襲による戦いでも、マチルダを守りながら戦います。
自分一人ならこんな面倒にも巻き込まれることはなかったし、どんな厳しい戦いでも生き延びることはできたでしょう。
しかし、結果として、この戦いでレオンは命を落とすことになります。
マチルダと関わりを持って、マチルダを守ったがために、命を落としました。
それでも、レオンにとっては、あのまま孤独な殺し屋として生き続けるよりも、マチルダが生き延びることに望みを託し、それを実現して死ねるほうが、幸せだったのかもしれません。
人との関わりや、感情が乏しいレオンが、マチルダと出会ったことで人との関わりを持ち始め、それまでになかった感情を持つという、成長を目の当たりにできる作品でした。

大地に根を張るアグラオネマ

レオンの唯一の「友達」として登場した、鉢植えに植えられた植物、アグラオネマ。
「無口で喋らず、根を張っていない」ところが自分に似ているということで、レオンに友達認定されています。
仕事柄、また、マチルダをかくまうためにも、点々と移動を繰り返しますが、そのたびにこのアグラオネマも必ず大事に連れて行っていました。
めちゃくちゃ大事で、自分を投影している存在なんですね。
ラストシーンで、レオン亡き後に、マチルダが学校の校庭にこのアグラオネマを「もう安心よ、レオン」と言いながら植えます。
レオンは、マチルダを最後に逃がすシーンで、「大地に根を張って暮らしたい」と言っていました。
レオンがアグラオネマに自分を投影していたように、マチルダもレオンを投影することで、レオンの最後の望みを叶えてあげたかったのでしょう。
悲しい結末でありながらも、この愛情に溢れたラストシーンがあることで、とても後味の良い終わり方をしているなと感じました。

まとめ

私が本作を観る前に敬遠してた時代、パッケージ写真から受けた印象の通り、結構重いといえば重い雰囲気や内容ではあります。
ただ、レオンとマチルダというデコボココンビの存在や、2人の間に芽生える愛情の輝かしさがうまくその雰囲気と中和して、全体としてバランスがとれている印象を受けました。
そしてラストで流れるトドメの「shape of my heart」もほんとに名曲です。
本記事の執筆時点ですでに3回ほど繰り返して観ていますが、これからもふと思い出しては何度も観るんだと思います。
それくらいハマれた作品だし、観てない方にも自身を持っておすすめできる作品でした。

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